真珠のテリについて
真珠における輝きのことをテリと呼びます。テリは真珠を選ぶ上では欠かすことができない要素の一つです。天成真珠では特に、『テリ』と『巻き』を重視した越物の養殖を行っています。
テリ 弱
テリ 強
テリの比較
真珠のテリは一粒一粒個体差があり、テリの強い真珠ほど希少価値も高まります。
図をみると、右に行くほどテリがよくなっているのが分かると思います。一粒だけを見ると分かりにくいですが、比べてみると一目瞭然です。簡単に言えば、真珠の中心の丸い珠のようなものが、しっかり見えていればいるほど、テリが良い、力のある真珠ということになります。
真珠の構 造
真珠の構造は図のように、いくつもの炭酸カルシウムの結晶が、レンガ状に積み重なって構成されています。その間のコンキオリンというたんぱく質が接着剤の役割を果たし、真珠層を形成しています。
真珠層一層の厚さは約0.4μ(ミクロン)で、その層が1000層以上重なってできたものです。
真珠のテリが生まれる理由
真珠に光が当たると表面による反射と、真珠層内部の各層で反射が起こります。この時に真珠層が規則的に並んでいれば、反射光が多くなり、光沢がよくなります。逆に、真珠層が不揃いであると、光は乱反射を起こし、光沢が弱くなります。
真珠の干渉色
二つ以上の光波が同一点で重なり合って互いに強め合い、あるいは弱め合う現象を干渉といいます。真珠における干渉は『多層膜干渉』とよばれる現象で、光の当たり方によってシャボン玉のようにピンクやグリーンの干渉色が生じます。巻きの要素との相関性が強く、真珠層が厚いほど干渉色も強くなります。
極めてテリが強い真珠は写真のように、中心部に芯がくっきりと浮かび上がり、なおかつ干渉色も強くでます。真珠のテリとは、光の反射による輝きと、光の干渉効果による、内側から溢れ出る輝きの融合によるものだと言えます。
浜上げ時期の重要性
忘れてはならないのは浜上げの時期です。由良半島に雪が舞う頃、一年で最も水温が下がる時期に、栄養を蓄えたアコヤ貝が、内面に細かい結晶構造を持つ真珠層を形成します。この『化粧巻き』呼ばれる現象は、真珠の出来を大きく左右します。化粧巻きにより表面が滑らかになり、より美しい輝きを放ちます。
例年、漁協による真珠の入札会は12月中旬から始まります。天成真珠は入札には出品しないので、その年の水温環境によって、自由に浜上げのタイミングを計ることができます。その養殖技術は知識と長年の経験によって培われ、天成真珠の土台となっています。